Background
背景
創業60年を超える兵庫県宝塚市の老舗喫茶店「YURI COFFEE(百合珈琲)」。10数年前、本店のリブランディングを手がけたご縁から、新店舗となる「YURI COFFEE 六甲山」の立ち上げプロジェクトに参画しました。
新店舗は、市街地にある本店とは大きく異なる、六甲山の豊かな自然に囲まれたロケーション。先端マテリアルの開発・製造を手がける太陽鉱工社が保有する保養所内に併設するかたちで、新たな交流拠点としてオープンするカフェです。
長年地域で親しまれてきたYURI COFFEEのブランドらしさを受け継ぎながら、この場所だからこそ生まれる新しい体験をどうデザインするか。本店のアイデンティティを継承すると同時に、六甲山ならではの魅力や空気感をブランドへ取り込むことが、本プロジェクトにおける大きなテーマとなりました。

Concept
コンセプト
現地を訪れた際に強く印象に残ったのは、山間をゆっくりと吹き抜ける心地よい風でした。その穏やかな揺らぎをデザインの核とし、本店が持つ世界観を受け継ぎながらも、六甲山という土地ならではの自然や空気感を感じられるアイデンティティを目指しました。
また、本プロジェクトではロゴデザインだけでなく、施設全体のブランド設計についても提案。施設内に今後ほかのテナントが入居する可能性など、将来的な運営や環境の変化まで見据えた設計が必要でした。テナント毎にそれぞれ独自のサインを展開してしまうと、施設全体の景観やブランドトーンにばらつきが生まれ、意図しないハレーションが起こることも想定されます。
そこで私たちは、施設側のトーン&マナーなどを定義し、そのルールのもとで施設全体にまたがるサインを展開することを計画しました。「館=YURI COFFEE 六甲山」ではなく、「スズノネヒュッテの中にあるYURI COFFEE 六甲山」というブランドの階層構造を明確にすることで、それぞれの役割を整理しながら、将来的な更新にも対応できる状況のデザインを行いました。




Design
デザイン
YURI COFFEE本店のロゴを継承しながら、六甲山店のロゴタイプには、山間を吹き抜ける風の揺らぎを想起させる柔らかな表情を取り入れました。ブランドカラーにはネイビーを採用。リノベーションされた店舗の床に使われていた印象的な藍色から着想を得るとともに、空間の色彩に自然と溶け込み、過度に主張しない色として選定しました。レトロモダンなインテリアとの調和を図りながら、落ち着きと品のあるブランドイメージを目指しています。
こうした世界観をもとに、ショップカードやパンフレット、メニューフォーマットなどを制作。明朝体を基調としたタイポグラフィ、ワントーンで描かれたイラストレーション、オールドスタイルな構成など、ブランドの空気感を醸成するためのデザインコードを定義し、あらゆる顧客接点へと落とし込みました。
また、施設全体のサイン計画では、施設ロゴタイプのストロークをモチーフとしてピクトグラムを設計。色彩も風景や空間になじむ落ち着いたトーンで統一することで、建築や周囲の環境に静かに寄り添うサインシステムを構築しました。ブランドと建築、そして自然環境が調和することで、この場所ならではの穏やかな時間を感じられる体験を目指しています。










Credit
- Client:TAIYO KOKO Co.,Ltd. ,YURI COFFEE
- Project Management:Yasue Imai
- Interior Design:Yasue Imai
- Art Direction : Junki Takizawa(COYOTE)
- Design :Myu Aoki(COYOTE)
- Photography:Takamitsu Motoyoshi